大正時代の町家再生「青梅の家」

「青梅の家」のお施主様から15年間お住まいになった感想をお寄せいただきました。

施主 鈴木 千絵 様

深田さんに青梅の家を改修していただいてから15年経ちました。
この家はかってはただ朽ちていくかという瀬戸際だったこともありますが
今はまるでそんな経緯と関係なく、健全に息づいている住まいといった風情があります。

以前は空家同然だった時期も長く、山間部なので天井にはムササビ、床下には狸が住んでいたこともありますが、改修工事を行い又そのあと程なく私共が移り住んで、家を囲む木々を少しずつ切り払ったり換気をすることで風通しや日当たりが改善され、この家は文字通り再生したのでしょう。
築約100年の天井や古い建具と新しく継いだ柱や張り直した床の対比は
相変わらず際立っています。元々の部位と新しい部位はそれぞれが
この家の構成するものとして主張しています。
とはいえ改修した部位も15年という年を経てそれなりに経年の様相を呈しています。その経年の分だけはこの古屋全体と共に同化をとげているのでしょう。

この家は再生の機会を得て既に築100年近く建っています。
また住む人がいる限りはもっと長い間でも持ちこたえることでしょう。
そしてそれは深田さん以外の人の仕事では実現できなかったことだと思います。
改修を考えた際、他の業者は見に来て家の周りを一周しただけで
建て直しするほうが早いと言ったのが殆どでした。
屋根裏や縁の下をくまなく調べて改修を引き受けて下さったのは深田さんだけでした。
この家の恩人だと思っています。